ラッシュライフ~伊坂幸太郎~ おすすめの小説
あっという間な「豊かな読書タイム」
やっぱり伊坂さんの小説を読むと、読書後の充足感と幸福度が身体中をかけ巡る。
さあ、さっそく......
[あらすじ]
泥棒を生業とする男は新たなカモを物色する。
父に自殺された青年は神に憧れる。
女性カウンセラーは不倫相手との再婚を企む。
職を失い家族に見捨てられた男は野良犬を拾う。
幕間には歩くバラバラ死体登場――。
並走する四つの物語、交錯する十以上の人生、
その果てに待つ意外な未来。
不思議な人物、機知に富む会話、先の読めない展開。
巧緻な騙し絵のごとき現代の寓話の幕が、今あがる。
[レビュー]
伊坂さんならではのパズル的な物語の構成にはいつも驚かされる。
「布石が/伏線が、美しいほどに回収されていく」ことに本当にうっとりするほどだ。
小説の中でも謎解きをする感覚、章を跨ぐごとに時系列を頭の中で整理して行くのも、伊坂さん小説の楽しみ方だと教えてくれる。
そして何より「音楽」が物語の鍵となる。
紙の上の文字が、「音楽」があることで、浮き出て見える、3D的小説体験ができる楽しみ方を教えてくれる。
ぜひこの記事を読んでいる方にも、「小説的3D体験」をして頂きたい。
もしもう読まれた方、他にも小説×音楽の書籍があれば、オススメを教えて頂きたい。(ぜひコメント等お願い致します。)
ラッシュライフの場合、印象に残るのは「ビートルズのHere coms the sun」だ。
リストラされた「豊田」が「大丈夫大丈夫」と自分に言い聞かせる時にイヤホンを手に取る。
優しすぎるイントロとともに、希望という名の光が射してくる情景を多くの人が思い浮かべたのではないだろうか。
この文章をある喫茶店で書いた。
落ち着いた雰囲気でオルゴールのBGMが流れる喫茶店で気に入っているのだが、ちょうど「it`s all right」と聞こえたこの偶然は神様からの贈り物だと思い込んでいる。
[一生保存版の名セリフ]
「俺はさっき泥棒のプロフェッショナルだと言ったよな」
「でもな、人生については誰もがアマチュアなんだよ。そうだろ?」
「誰だって初参加なんだ。人生にプロフェッショナルがいるわけがない。まあ時には自分が人生のプロであるかのような知った顔をした奴もいるがね。とにかく実際には全員がアマチュアで、新人だ」
「考える前にスイングだ」
「行き詰まっているとお前が思い込んでいただけだよ。人ってのはみんなそうだな。例えば、砂漠に白線を引いて、その上を一歩も踏み外さないように怯えて歩いているだけなんだ。周りは砂漠だぜ、縦横無尽に歩いていけるのに、ラインを踏み外したら死んでしまうと勝手に思い込んでいる」
[さいごに]
大切なmessageをもらった。
「感じて終わり、読んで終わり、すぐに思考停止している僕ら」
この衝撃こそが、ラッシュライフを読んだ価値だ。
自分にとってlush(豊か)は何か。
探し続けたいと強く思う。